「夕顔ラーメン」@栃木市

栃木県南部の歴史ある蔵の町として知られる 栃木市 では、地域特産物を活かしたご当地麺として「夕顔ラーメン」が提供されている。最大の特徴は、麺そのものに夕顔の果実の粉末を練り込んでいる点にある。夕顔は、干して加工すると「かんぴょう」となるウリ科の植物で、栃木県は全国生産量の約8割を占める日本一の産地として知られている。この地場産品をラーメンに応用しようという発想から、夕顔ラーメンは誕生した。

夕顔を練り込んだ麺は、ほんのりとした甘みとやさしい風味を持ち、一般的な中華麺よりも淡い色合いに仕上がる。食感は滑らかで、つるりとした喉越しがありつつも適度なコシを備えている。スープは店舗ごとに個性があり、醤油・塩・味噌など多様な味付けで提供されるが、いずれも夕顔麺の繊細な風味を損なわないよう、比較的あっさりとした設計が多い。

このラーメン文化を地域ブランドとして発信するため、市内の中華料理店を中心に 夕顔ラーメン会 が組織された。現在は市内3店舗で提供され、観光客向けグルメとしても徐々に認知を高めている。提供店では、夕顔の実やかんぴょうを具材やトッピングに活用するなど、原料作物との結び付きをより強調した工夫も見られる。

栃木県におけるかんぴょう生産は江戸時代から続く伝統産業であり、保存食・乾物文化を支えてきた重要な存在である。夕顔ラーメンは、その歴史ある農産物を現代的な麺料理へと再解釈した試みともいえる。地産地消、農産物PR、観光振興という複数の役割を担いながら、地域色豊かな一杯として独自の地位を築きつつある。

派手さよりも素材の個性と土地の物語を味わうラーメン――夕顔ラーメンは、栃木の農業文化と麺食文化を結び付けた象徴的存在として、今後の発展も期待されている。

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