「高崎パスタ系ラーメン」@高崎市

群馬県西部の中核都市 高崎市 は、「パスタの街」として全国的に知られている。市内には老舗イタリアンから個人経営の洋食店、創作パスタ専門店まで数多く集まり、人口当たりのパスタ提供店数が多い地域としても語られてきた。この独特の食文化的土壌が、ラーメン分野にも影響を与えて生まれたのが、いわゆる「高崎パスタ系ラーメン」と呼ばれる創作系ラーメン群である。

明確な統一規格や発祥年、団体組織が存在するわけではないが、“パスタ的発想をラーメンに応用する”という共通したコンセプトが見られるのが特徴だ。代表的なスタイルとしては、トマトベースのスープを用いた「トマトラーメン」、生クリームやチーズを合わせた「カルボナーラ風ラーメン」、バジルやオリーブオイルを効かせた「ジェノベーゼ風ラーメン」などが挙げられる。これらは単なる色物メニューではなく、パスタ調理で培われたソース設計や乳製品の使い方が応用されており、洋風麺料理として一定の完成度を持つ。

麺は一般的な中華麺を使用する場合もあれば、やや加水率を高めてモチモチ感を強調したもの、逆にパスタに近いアルデンテ食感を意識した茹で加減にするなど、各店が試行錯誤を重ねている。具材もチャーシューやメンマに限定されず、ベーコン、鶏肉、温野菜、モッツァレラチーズなど洋風食材が積極的に取り入れられる。

この系統が生まれた背景には、高崎における外食文化の競争環境がある。パスタ激戦区であるがゆえに、飲食店は差別化を図る必要があり、その延長線上で「ラーメン×イタリアン」という越境的発想が芽生えたと考えられる。また、小麦文化が根強い群馬県全体の食習慣も、こうした麺料理の自由な融合を受け入れる土壌となった。

高崎パスタ系ラーメンは、伝統的ご当地ラーメンのように長い歴史や固定レシピを持つわけではない。しかし、地域の強みであるパスタ文化を媒介にして発展した“都市型創作ご当地麺”という点に独自性がある。ラーメンを郷土料理として固定化するのではなく、他ジャンルと融合させながら進化させていく――その柔軟性こそが、高崎という食文化都市の個性を体現しているといえるだろう。

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