「入善ブラウンラーメン」@入善町

入善ブラウンラーメンは、富山県東部に位置する農業の町・入善町で誕生した、町おこし型のご当地ラーメンである。その名の通り、スープの色合いが“茶色(ブラウン)”であることが最大の視覚的特徴で、地元産みそや農産物を活用したコク深い味わいによって地域ブランド化が図られてきた。

開発の背景には、入善町が米・チューリップ・ジャンボ西瓜など多彩な農産物を生産する一方、観光客に訴求できる飲食名物が少なかったという課題があった。そこで地元飲食店や関連団体が連携し、農産物加工品の一つであるみそに着目。町産または県産みそをベースにしたスープを核とし、地域を象徴する新たな麺料理として創出されたのが入善ブラウンラーメンである。

スープは赤味噌・合わせ味噌を主体に、豚骨や鶏ガラの動物系出汁、さらに野菜の甘みを重ねて炊き上げる。仕上がりは濃厚でありながら塩辛さは控えめで、味噌の発酵由来のコクとまろやかさが前面に出る。茶色く濁った外観は一見重厚だが、後味は比較的やさしく、幅広い世代に受け入れられやすい味設計となっている。

麺は中太縮れ麺が主流で、とろみのある味噌スープをしっかり持ち上げる仕様。加水率はやや高めでもちもちとした食感を持たせ、寒冷期でも伸びにくい実用性を備える。トッピングにはチャーシュー、もやし炒め、コーン、ネギ、メンマなど味噌ラーメン王道の構成が並ぶが、店舗によっては地元野菜を増量し、“農の町”らしさを表現する工夫も見られる。

また、提供店ごとに独自アレンジが認められており、辛味噌を加えたスパイシー系、バターを落とした濃厚系、黒マー油でコクを強めた派生型など、多様なバリエーションが存在する。統一レシピで縛るのではなく、「ブラウン色の味噌スープ」という共通コンセプトで地域全体の参加を促した点が、町おこしグルメとしての特徴である。

入善ブラウンラーメンは、農産物と発酵文化を融合させ、地域の個性を一杯に凝縮したご当地麺である。派手な全国知名度こそ高くはないものの、地元資源を活用した持続型グルメとして評価され、入善という町の名を食から発信する役割を担い続けている。

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