2026年10月29日
★★★

小田急線とJR南武線が交差する交通の要衝・登戸駅。駅前の賑やかなエリアに店を構え、赤い看板が目を引く『壱角家 登戸店』を訪問した。

全国的に展開する大手横浜家系ラーメンのチェーン店であり、昼夜を問わず手軽に家系ラーメンを楽しめる使い勝手の良さで知られるお店だ。
今回は家系の定番メニューではなく、店頭の券売機や案内看板で大々的にアピールされていた期間限定メニューに興味を惹かれ、暖簾をくぐることとなった。

タッチパネル式の券売機で今回選択したのは「塩壱郎ラーメン」(並・1,180円)。

ネーミングやビジュアルからも察せられる通り、いわゆるラーメン二郎や二郎インスパイア系を強く意識したであろう「壱郎」シリーズの一杯だ。

昨今のラーメン界隈ではチェーン店による二郎系オマージュもすっかり定着しているが、家系スープをベースにどのような仕上がりを見せてくれるのか試してみることにした。なお、並サイズで1,180円という価格設定は、昨今の原材料高騰を考慮しても少々強気に感じられる。

カウンター席に案内され、食券を渡して到着を待つ。

ほどなくして運ばれてきた丼は、白濁したスープの上にキャベツやもやし、大きなチャーシュー、背脂、そして黒胡椒が振られた一皿である。二郎インスパイア系らしい見た目ではあるものの、山のように盛られた野菜のインパクトを期待していると「野菜の量がやや少ないかな」というのが正直な第一印象だった。

ガッツリとした山盛り野菜を想像していると、盛り付けの控えめさに少し肩透かしを喰らうかもしれない。
しかし、そこを補って余りあるのが同店の大きな強みである卓上サービスの充実度だ。
『壱角家』のカウンターには、なんと「刻み玉ねぎ」が入れ放題として常備されている。

容器から刻み玉ねぎを躊躇なく大量にスープへ投入する。さらに、本家二郎系ではゴツゴツとした「刻みにんにく」が定番なのに対し、こちらで用意されているのは家系チェーンらしく「おろしニンニク」だ。このおろしニンニクもしっかりと投入してスープ全体に馴染ませ、パンチとジャンク度を強化していく。自分好みにカスタマイズできるこの環境は、非常にありがたいポイントと言える。

トッピングをセルフ補強したところで、まずはスープを一すくい。マイルドでクリーミーな家系ベースの塩スープに背脂のコクとおろしニンニクの風味が合わさり、親しみやすい味わいが広がる。

続いて引っ張り出した太麺は、モチモチとした力強い食感でスープやシャキシャキの野菜、大量の刻み玉ねぎとよく絡み、噛み応えも十分だ。麺とスープの相性自体は「まずまず」といったところで、クセがなく素直に食べ進められる。

全体としてまとめると、チェーン店らしく極端な尖りや破綻を排除した「万人受けする二郎インスパイア」といった着地点である。刻みにんにくではなくおろしニンニクである点も含め、本家の二郎系が持つ強烈な中毒性や圧倒的なインパクトを期待すると驚きや感動は薄いものの、臭みや癖が抑えられている分、誰もが安心して食べられるクオリティにまとまっている。
刻み玉ねぎやおろしニンニクを自分で自由に投入してアレンジを完成させる楽しさはあるものの、並盛りで1,180円という価格や野菜のボリューム感を考えると、コストパフォーマンスの面ではもう一歩踏み込んでほしいと感じたのも本音だ。
とはいえ、登戸駅前という抜群の立地で、手軽にガッツリ系の気分を満たしたい時には選択肢として悪くない一杯である。